今回紹介するのは、中国のSF作家 劉慈欣(リウ・ツーシン) による長編SF小説 『三体』 です。
作品について
『三体』は、世界的に高く評価されているハードSF作品で、数々の文学賞を受賞しています。
特に第1部は、中国語圏の小説として初めてヒューゴー賞長編小説部門を受賞したことで話題になりました。これはアジアの作家としても初の快挙です。
1巻、2巻(上・下)、3巻(上・下)の5冊からなる作品で、本編の前日譚にあたる 『球状閃電』や、ファンによる外伝的な作品も存在します。
あらすじ
文化大革命期の中国で起こった科学者たちの悲劇をきっかけに、地球文明と「三体星」と呼ばれる異星文明との接触が描かれます。
人類が未知の知性とどう向き合うのか、科学・哲学・政治が複雑に絡み合いながら物語は進んでいきます。
読んだ感想
正直、かなりコアなSFです。
物理学や数学など難解な専門用語も多いのですが、それ以上にストーリー展開が面白く、ほとんど中だるみを感じませんでした。
「敵はこう考えているから、こちらはこう対策しよう」と戦略を練るものの、相手の知恵が上回ったり、人間同士で足を引っ張り合ったり…。
読んでいて「もしあの時こうしていたら?」「この人物がいなかったら?」とIFを考えたくなる要素が多く、読み終えた後もしばらく余韻に浸れる作品でした。
気になった点
登場人物がほとんど中国人で、漢字名だけだと性別をイメージしづらく、最初は感情移入が難しかったです。また、各巻が300ページ以上あるので、読み切るのにそれなりに時間がかかります。
まとめ
「人生ベスト本」に入るかといえば悩むところですが、間違いなく「読んでよかった」と思える一冊でした。
SFが好きな人、特に「未知の文明との対峙」や「人類の可能性」をテーマにした作品が好きな方には強くおすすめできます。