
近年,中高強度の身体活動とは独立して,座位行動の健康リスクが注目されるようになりました。
世界保健機関は「健康のための身体活動に関する国際勧告」のなかで、身体活動不足は「高血圧」「喫煙」「高血糖」に次いで全世界の死亡に対する危険因子の第4位であることを公表しています。日本においても身体活動不足は非感染性疾患による死亡原因のうち「喫煙」「高血圧」に次ぐ第3の危険因子となっています。
2015年に行われたシステマティックレビューによると、1日合計8時間以上、また30分以上継続する長時間座位行動が「心疾患」「がん」「糖尿病」にも関わってくるとされています。心疾患や代謝性疾患以外にも筋力の低下、特に脊椎や背中の筋力が低下することで、腰痛や肩こりなどの問題が生じます。
また、長時間の座位行動はこのような身体的影響だけでなく、精神的健康にも影響を及ぼすとされています。職業上の座位時間がストレスやうつ病の発生と関連していることが明らかになっており、長時間座位が心身の健康リスクを増加させるとされています。
こちらの記事は、デスクワーカーの座位行動中における運動プログラムを構築し、短期効果として身体の痛みやだるさの軽減および主観的健康度の向上を目的としています。
運動方法
運動方法については、下記4種類の運動から3種類を組み合わせた、3分程度の運動プログラムを1日に2回実施します。
- 片脚立ち(片側1分の計2分)
- スクワット(1分)
- ストレッチ(1分)
- 閉眼腹式深呼吸(1分)
おすすめのタイミングは「始業前 + お昼休憩中」もしくは「終業後 + お昼休憩中」です。お昼休憩中にはなにかしらの運動は必ず行うようにしましょう。
こちらに加えて、始業前、終業後にラジオ体操を行うとなお良いです。
ラジオ体操には、体全体を動かし、筋肉や関節を柔らかくする効果があります。始業前に体をほぐしてガチガチに固まるのを予防し、終業後に固まった体をほぐしてあげてください。
これらの運動は、中高年の壁を超えてしまった方々には特におすすめです。あなた方は筋トレや食生活だけでなく、「動かす系」の運動をもっと重視するべきです。
年齢を重ねれば柔軟性の低下や関節の動きの固さがより顕著になってきます。そうならないためにも日々の運動は積極的に行ってください。