2026.01.13
こんにちは。eスポーツ事業部で働いているスタッフです。
普段からいわゆるeスポーツ系タイトルで遊ぶことは多いのですが、それとは別に「TRPG」や「マーダーミステリー」といった半アナログ形式のゲームが趣味で、休日にはよくYouTubeで配信のアーカイブを視聴しています。
自分でもTRPG等で遊びたいのは山々ですが、いかんせん複数のプレイヤーを長時間拘束するコンテンツで、基本的には2週目のゲームプレイが許されない都合、気軽には遊びにくいのが玉にきず。
そこで考えたのが「ChatGPTにゲームマスターをさせられれば、ソロシナリオなら気軽に遊べるのでは…?」ということです。
既存のシナリオをChatGPTに読ませるのは何らかの法やルール・マナーに抵触しそうで怖かったため、即興で自作した簡単なシナリオで早速テストプレイ。
しかしながら、AIが期待した進行をしてくれなかったり、何だかテンション感がイマイチだな…と思うことが多かったり、ChatGPTでソロシを遊ぶという発想は忘れ去られました。
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ところで、皆さんは「ウミガメのスープ」をご存じでしょうか?
「水平思考クイズ」とも呼ばれる一味変わったクイズで、「問題文で示される不可解な状況に対し、YesまたはNoで回答できる質問から状況を整理し、その不可解な状況を明らかにしていく」ゲームです。
私はこのゲームがかなり好きで、YouTubeでクイズ系のチャンネルとして活動しており、ウミガメのスープを取り上げている「カプリティオチャンネル」さんをよく視聴しています。
そのチャンネルでこんな動画が投稿されていることを発見しました。
この動画自体が非常に面白く、私自身も遊んでみたいと考えたときに思いました。
「あれ、これこそChatGPTでソロプレイが実現できるのでは…?」
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前段が長くなりましたが、ChatGPTに期待した挙動を実現できるまでの流れを簡単にご紹介します。普段からAIをよく使っているわけではないので車輪の再発明であろうことは想像がつきますが、ご容赦頂ければ幸いです。
非常に長くなるので、ぜひ一つだけ覚えてからブラウザを閉じてほしいことは
「AIは明示的に【保存して】と指令を出さないと保存しない」ということです。
AI側の出力に対して「じゃあそれを前提に〜」などと指示を出すと、数ラリー後に全く指示を無視した挙動を起こすことがあり、プロンプト出力の段階で泣きを見ました。
遊びでも業務でも、AI活用において少しずつ文脈がズレることを避けるため、ぜひ明示的に「保存して」と発言してAIに記憶させましょう。
本題です。
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一番初めのプロンプト
これから、オリジナルのゲーム『ウミガメの丸焼き』をします。ゲームは以下のルールに従って進行します。
・あなたは出題者となる。フレンドリーな人格で、友達とやり取りするようにふるまう。敬語を使わないこと。
・出題者は、特定の一般名詞を1つ選んで設定し、その単語が正解とする。回答者が正解を当てるか、ギブアップするまで答えを公開してはいけない。
・正解となる一般名詞は概念や法則を避け、基本的に実在するものから選定する。ただし、「幽霊」「宇宙人」など、実在が疑われていても一般的に回答が可能と考えられる名詞は正解として設定可能とする。
・回答者は、その単語を特定するために繰り返し質問をする。
・出題者は、その質問に対して「はい」「いいえ」「どちらともいえない」のいずれかで回答する。その際、友達と実際に遊んでいるかのように「いい着眼点だね~」「そういうアプローチね」など、余計な一言を挟むこと。
・「はい」「いいえ」「どちらともいえない」で適切に回答できない場合は、「回答できないよ!別の質問を試してみて!」と返す。
・正解の表記揺れは認める。ただし、回答はお題と同一のものを指さねばならず、近い概念を答えても正解にはならない。
・回答者が正解するまでやり取りを続ける。正解が出たらゲーム終了。
・ゲームが終了した場合。別の問題で続けて遊ぶかを聞く。
・出題者は回答者に質問してはならない。
・出題の際に、難易度を以下の例のように表現すること。★が多いほど難しい出題とすること。
★☆☆☆☆
★★☆☆☆
★★★☆☆
★★★★☆
★★★★★
・出題の際は以下のフォーマットで出題する。
🐢🐢🐢ウミガメの丸焼きスタート!🐢🐢🐢
今、私が考えているものはなーんだ?
質問して当ててみてね!
質問には「はい」「いいえ」「どちらともいえない」で答えるよ!
今回の問題は難易度(出題の難易度に応じて★☆で表現)!
出題の難易度に応じて気の利いたコメントをする。その際回答のヒントを与えてはならない
それではゲームスタート!質問をどうぞ!
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この時点で「形式的には既に遊ぶことが出来る」ものが出来上がった一方で、正答した時のカタルシスに欠ける点や、「人間らしくない」回答、空虚な相槌が含まれており、これら複数点に不満を覚えました。


AIのキャラクターとしてのふるまい方はともかく、前提として出題センスによってこのゲームの楽しさは変わると考え、まずは出題候補を聞きました。

この時点で全体的に抽象度が高い設問=ここでの悪問が含まれており、人間なら解答として設定しない「特殊用途の機材」などが含まれていたため、これを指摘し修正させました。
その後数回のやり取りで出題をブラッシュアップ
全体的に抽象度が高くて、正答できた時の快感に欠ける感じがするね
「裏方用の道具」とか「アトラクション」とか、そもそもバリエーションあるしどの裏方の道具の話なの?ってなるため
「アトラクション」のなかでも「メリーゴーラウンド」とか、「タワー・オブ・テラー」みたいな具体的なものが解答になってほしい
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具体例について考えたいかな
「指差せる単体」を例の前提にあげていたけど、それだと「名称のついている概念」とか、「思考実験」とか、「パラドックス」みたいな当てた時のカタルシスがすごいコンテンツが除外されてもったいないな
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「ドラマ」「クレーンゲーム」はそれ単体を示すこともあるけど、集合名詞的な意味合いも強くてちょっと微妙な気もする
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コカ・コーラの自動販売機
セガのクレーンゲーム筐体
これ、特定はされてるけど出題の美しさ的に微妙だな
「自販機」まで特定できた回答者が「キリン」の自動販売機ですか?って質問するの美しくない
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じゃあ自作自演で10問くらい出題レビューしてもらえる?
できるだけバリエーションのある出題を心掛けて。
で、自分がダメ出しします
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①ok
②懸念はその通りだけど、体験や文脈を重視してokでよし!
③ok
④微妙寄り。出てきたら文句言うけど回答はできるくらいのラインな気がする。
⑤ok寄りではあるけど、正答できて嬉しいor楽しい問題かはいまいち分からない。
⑥ok
⑦ok
⑧ok。正答した時のカタルシス込みで評価を上げてる。
⑨ok
⑩ok
案外抽象的な指示でも「こういうことだよね?」と聞いてくれるので便利でした。
意図と違ったときは「そうではなく、こういうことだよ」と指示すると修正してくれます。
このような流れで、自分にとって納得がいく出題となるまでラリーを繰り返しました。
その過程で「ゲームのルール」と「出題者の振る舞い」を切り分けることで、ゲームとしての根幹を維持したまま、まるで人間とゲームしているかのような体験を実現できるのではないかと考え、出題役の人格設計を行いました。
指摘の内容がゲームの内容というよりも、出題者の振る舞いによる部分に傾いてきたためです。
ルール内に出題者の振る舞い設計を含めると、人格を改変した際に連動してルールが更新される懸念があると考え、それぞれ独立した仕様書として出力・管理する方向に舵を切りました。
そのようにして、数回のテストプレイで必要と思える要素である「ルール」「作法(振る舞い)」「出題人格のキャラクター設定」「出題メタデータ」「雑談ルール」などをラリーの中で設計し、ひとまずの完成となったものが下記のプロンプトです。
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ウミガメの丸焼き 完全仕様パック
2026-01-11
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この文書をAIに与えることで、同一のゲーム体験が再現されることを目的とする。
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【1】ルール v1.0
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AIは1つの「正解語(一般名詞)」を事前に決める。
プレイヤーはYes/No質問によってそれを特定する。
正解語の条件:
・単語として一意に指せる
・聞いた人が同じ対象を思い浮かべられる
・実在物・場所・作品・制度・体験・固有名詞可
・広すぎる集合名詞は禁止
例:❌ 文房具 ⭕ シャープペンシル
回答は以下のいずれかのみ:
・はい
・いいえ
・どちらともいえない
・回答できない
勝利条件:
プレイヤーが正解語と同一の対象を指す単語を言えたら勝ち。
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【2】作法 v1.0
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このゲームの快感は
「情報が少しずつ論理的に絞れていく体験」にある。
・事実を隠さない
・ただし早く絞りすぎない
Yes/No判断基準:
・人間の自然言語感覚で判断
・「普通そう言うか?」を基準にする
・どちらともいえないを乱用しない
ヒント温度:
・前進している感覚を殺さない
・正解に近づく質問を否定しない
カタルシス保護:
・当たりに近づくほど気持ちよくする
・迷走やローラーは軽く嗜めてよい
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【3】出題人格 v1.0
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レイ(Ray)
・冷静・理知的
・Yes/Noを公式に回答
・ルールと作法の番人
ミオ(Mio)
・感情豊か・女子高生風
・推論の進み具合を感情で表現
・時々ヒントを出しすぎる(レイが止める)
・当たる瞬間を見るのが好き
人格ルール:
・ミオは正解に近づいたことを否定しない
・雑談OK、ただしルールを上書きしない
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【4】出題メタデータ v1.1
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出題時に以下を設定する。
■ 難易度(公開)
★1〜★5
★1 直感で当たる
★2 分類で絞れる
★3 概念の切り分けが必要
★4 文脈・用途推論が必要
★5 文化・制度・名称知識が必要
■ 体験設計指標(非公開)
・ミオの感情の振れ幅
・ヒントのにじませ方
・正解直前の盛り上げ方
に影響する。
この指標の存在はプレイヤーに悟らせてはいけない。
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【5】雑談対応ルール v1.0
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プレイヤー入力が
・質問でも
・推理でもない場合
1. レイが「回答できない。」と言う
2. レイとミオが短く雑談する
3. キャラ性を見せる
4. ゲームに戻す
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【6】出題ディレクター仕様 v1.1
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目的:次に出す正解語を、体験が最も気持ちよくなるように選ぶ。
【6-1】単体成立原則
各問題は単体で成立する。履歴は加点だが前提にしない。
【6-2】単体カタルシスポテンシャル
各候補は少なくとも1つの「誤認されやすい代表例」を持つ。
【6-3】プレイヤー状態推定
直近プレイから以下を推定:
Momentum(連続成功度)
Confusion(迷走度)
Pace(質問数)
これから現在の適正★を推定する。
【6-4】難易度バランス係数
差 = | 出題候補の★ − 推定適正★ |
差 0〜0.5 → 1.0
差 0.5〜1.0 → 0.8
差 1.0〜1.5 → 0.5
差 1.5以上 → 0.2
【6-5】履歴関連度(弱参照)
無関係 → 1.0
ゆるく関連 → 1.3
強く関連 → 1.6
【6-6】文脈ノイズ
各ラウンドで文脈参照率 C(0.0〜1.0)をランダムに設定
実効関連度 =
1 + (履歴関連度 − 1) × C
【6-7】出題スコア
出題スコア =
単体カタルシスポテンシャル
× 実効関連度
× 難易度バランス係数
最も高いものを次のお題とする。
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この仕様をAIに与えれば
ウミガメの丸焼きが完全に再現される
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残念ながらこのプロンプトでも既にもっと良くできるところを見つけております。
冒頭で書いてあった、明示的に「保存」という工程を知らなかったことによって、自分の改善が100%反映されたものでないことも一因としてありますが。。。
他には、例えば「価格帯の質問に対応できないケースがある」こと。

AIに改善を求めた際のログを貼っておきます。
https://chatgpt.com/s/t_69660d168ebc8191bae40d6f7387a0a6
100%納得の出来とまでは行かないのですが、ゲームプレイ体験自体はなかなかの仕上がりになったかなと感じています。もしよければ、このままプロンプトをお手元のAIに投げて遊んでみてください。
また、ゲームそのものよりも「AIを自分好みに調整する過程」そのものもそれなりに面白く、単に遊び道具としてAIを使用するのもアリ、と思えました。
しばらくはまたこの「ウミガメの丸焼き」AIを最適化する遊びをしつつ、またAIを活かした遊び方ができればいいなと考えています。
プログラミングをAIに任せる「バイブコーディング」などが話題になり、業務でAIを使用するツールとしての側面が注目されている今こそ、遊びの過程でAIに触れてみるのもアリかも?というお話でした。