2025.11.12
今年は、社員旅行で北海道の登別へ、そしてプライベートで九州の別府へと、北と南の温泉地を訪れました。
温泉に入るのももちろん楽しみの一つですが、実は私、源泉そのものを見るのが大好きなんです。
湯けむりの奥には、地球の熱がそのまま噴き出していて、まるで大地が呼吸しているよう。
そんな“地球の息吹”を間近で感じるのが、私にとって最高の癒しでもあります。
大分の「別府地獄めぐり」と北海道の「登別地獄谷」。
どちらも名前は少し怖いですが、実際に行ってみると「地獄ではなく極楽」と感じる場所でした。
♨️ 大分・別府温泉 ― 日本一の源泉地帯
九州の大分県別府市は、日本一の源泉数を誇る温泉地です。
特に有名なのが「別府地獄めぐり」と呼ばれるエリアで、鉄輪(かんなわ)や亀川周辺に広がるこの地帯には、
約100度近い高温の温泉が自然に湧き出し、あちこちから湯けむりが立ち上る独特の景観が広がっています。
地表のすぐ下には、活火山・鶴見岳の火山活動で熱せられた地下水があり、長い年月をかけて地層の割れ目を通って地上へと噴き出しています。歩いて回れるエリアで、赤、青、白といろいろな色の温泉が見れるのは世界でもここだけ。
🌊 海地獄(かいじごく)

真っ青な湯気を上げる「海地獄」は、その色からは想像できないほど高温で、湯温は98度に達します。
近づくと蒸気と硫黄の香りが肌にまとわりつき、地球の呼吸を間近で感じるような迫力があります。
地下のマグマ熱が何千年もかけて地表に伝わった結果が、この美しい光景をつくり出しています。
🔴 血の池地獄(ちのいけじごく)

鮮やかな赤色が特徴の「血の池地獄」。
鉄分を多く含む粘土が高温で酸化し、地表の湯を真っ赤に染めています。
地学的には“酸化鉄の沈殿”という現象ですが、実際に目の前にするとまるで異世界のよう。
「地獄」という名にふさわしい、自然のエネルギーを感じる場所でした。
💨 白池地獄・龍巻地獄など

このほかにも、一定間隔で間欠泉が噴き上がる「龍巻地獄」や、乳白色の湯が静かに湧く「白池地獄」など、地形や成分によってまったく異なる表情を見せます。
同じ“地獄”でも一つとして同じ景観はなく、まるで地球の内部を少しずつ覗いているような感覚を味わえます。
🌋 北海道・登別地獄谷 ― 火山がつくる壮大な景観

北海道の南西部、登別市にある「登別地獄谷」は、支笏洞爺国立公園の一角に広がる大規模な温泉地帯です。
約1万年前の火山活動で形成された爆裂火口跡で、現在でも地中深くで熱水活動が続いています。
山肌は黄土色や灰色に焼け、硫黄の匂いが立ちこめ、あちこちから白い噴気が立ち上る光景は圧巻です。
実際に歩いてみると、登山道のスケールは箱根の3倍ほど。軽い気持ちで入ると、気づけば2時間以上歩いていました。

近くの「大湯沼」は湖のような規模で、表面がボコボコと泡立つ様子はまさに“地球の鍋”。
温泉街全体が火山活動の上に成り立っていることを実感しました。
🪨 地学的な視点で見る温泉の面白さ
温泉というと「癒し」のイメージがありますが、地学の視点から見ると“地球の内部構造を覗く窓”でもあります。数キロ地下でマグマに熱せられた地下水が、断層や割れ目を通って地上に噴き出す。
その過程で鉱物を溶かし込み、泉質や色が変わる――そう考えると、足元の大地の奥で起きている現象がとてもダイナミックに思えてきます。
☺️ おわりに
湯けむりに包まれながら、「地球って本当に生きてるんだな」と改めて感じました。北の登別、南の別府。どちらも“地獄”の名を冠しながらも、その景色はまさに極楽。
次はまた違う火山地帯の温泉も訪れて、地質の違いを見比べてみたいと思います。温泉=癒し+地学の教材、という少しマニアックな楽しみ方、ぜひおすすめです。